コミュニティから始まった農業IoTとの7年間——人との関わりが教えてくれたこと
コミュニティへの参加が農業IoTへとつながり、農家の方(エンドユーザー)と向き合う中で、自分(エンジニア)の「便利」と相手の「使える」は違うんだなというのを実感しました。「私にとってのコミュニティ」と「エンドユーザーが本当に求めるものは何か」を軸にお話していきたいと思います。
この発表では、3つの話をします。
① コミュニティが方向を与えてくれた
意図せず飛び込んだ場所で出会った人たちが、アイデアをくれ、技術を教えてくれ、続ける理由をくれました。Pythonコミュニティを含めたエンジニアコミュニティから始まった縁は、コーチングや人事のコミュニティへのつながりにも自然に発展しています。
コミュニティだけが唯一無二と言いたいわけではなく、好きなことでいろんな人と交流することが次の何かにつながる可能性がある、ということを伝えたいです。
② ユーザーの声と、運用のちょっとした工夫
一番印象に残っているのは、Python、クラウドを使い温度をWebで見える化しただけで農家の方がすごく喜んでくれたことです。自分には「基本的なことをしただけ」という感覚でしたが、その人にとっては毎日の作業が変わることだった。自分のスキルが誰かの役に立つ瞬間って、こういうことなんだと感じました。失敗も重ねながら、ユーザーの声を聞くことの大切さを知り、継続のための保守・運用の工夫もお伝えします。
③ 人との関わりから得た問いは、実務にも通じる
農家の方との対話で気づいたことは、エンジニアの日々の仕事にも通じるものがありました。育ててくれたのはコミュニティの仲間であり、エンドユーザーでもありました。農業IoTの話でもありますが、「ユーザーが本当に求めるもの」「コミュニティとの関わり方」はいろんな現場に通じる話だと思っています。一緒に話せたら嬉しいです。
このトピックに関するあなた自身の経験を教えてください
東京に転勤となりITエンジニアのシェアハウスに住んだことをきっかけに、エンジニアコミュニティと関わるようになりました。今考えると「成長したい」と思って参加したわけではありません。今を変えたいから、面白そうだから、気になるから。でも気づいたら、そこで出会った人たちが自分の方向を変えてくれていました。
PyCon JPをはじめとするコミュニティへの参加が農業IoTへの入り口となり、その後コーチングや人事のコミュニティへのつながりにも発展しました。意図したキャリア設計はなく、自分のやりたいことをやってきた結果です。
農業従事者の方と組んだIoTシステムを7年以上運営しています。Python・クラウドを組み合わせたシステムを実際の小規模な農場に導入し、農業従事者の方との相談やエンドユーザーの要望を取り入れながら、少しずつ開発・運用してきました。
運用では特別な工夫はしていませんが、ライブラリのアップデート、エラーなどの通知の仕組みを入れたことで早期発見・対応につながりました。少しずつ進め続けることの大切さも感じています。
この発表を通じて、参加者とどんな議論が可能ですか?
「エンドユーザーが本当に求めるものは何か」という問いは、農業IoTに限りません。Webサービス・業務システム・社内ツールなど、どんな開発にも共通します。
みなさんの現場での「エンドユーザーが本当に求めるもの」や、どうやったらそれを知れるのかについても話し合いたいです。
「意図せず〇〇に育ててもらった」という経験については、私はコミュニティでしたが、それぞれが関わっている場で方向性が変わった・見えてきた経験は次の新たな一歩につながると思います。
また、「好きなこと(偏愛)が誰かの役に立つ瞬間はどこにあるか」など技術の話だけでなく、なぜ作るのか・なぜ続けるのかを問い直すきっかけになれれば幸いです。